酒田市
酒田市では、義務教育学校の設立に向けた方針や、地域公共交通計画の策定、中心市街地の活性化方針づくりなど、様々なテーマで、市民参加型合意形成プラットフォーム「Liqlid」を活用しています。行政からの情報提供と市民からのアイディア収集を繰り返す「対話のキャッチボール」によって、これまでの手法だけでは描けなかった、まちの姿が見え始めています。
連携・取組のハイライト
⚫︎多様な市民との反復的な対話環境
Liqlidを「さかポス」の愛称で導入し、市の計画や課題を市民に透明性高く届ける環境を構築しました。更に、計画の初期段階から市民の声を募り、そのフィードバックを迅速に反映させた修正案を再び提示するという、反復的なコミュニケーションを確立しました。またインターネットを窓口とし、直感的に参加できるインターフェースを整えたことで、従来方法では参加が難しかった若年層も、気軽に社会的な意思決定へ参画できる仕組みを実現しています。
⚫︎部局の垣根を越えた、多角的な市民対話の展開
酒田市では、公共交通計画の策定、学校統合・義務教育学校の方針策定、そして中心市街地・中町エリアの再活性化指針である「まちなかグランドデザイン」の策定など、部局の垣根を越えてLiqlidを多角的に活用しています。
⚫︎ AI活用で論点を即座に可視化。政策検討への「余白」を創出
「さかポス」に寄せられた多数の意見をAIで迅速に分析することで、論点の抽出や意見の傾向を瞬時に把握することが可能になりました。これにより、従来の紙アンケートで大きな負担となっていた「手入力や集計」といった事務工程の大部分が解消されています。この効率化は単なるコスト削減を目的とするものではなく、担当者が「市民の多様な声をいかに政策や計画へ昇華させるか」という、より本質的な検討業務に思考を巡らせる時間の捻出にもつながっています。
実施自治体について
山形県北西部に位置する湾岸都市。「西の堺、東の酒田」と称される商人の町として発展してきました。肥沃な庄内平野を有する、日本有数の米どころでもあります。
人口:91,979人
世帯数:42,143世帯
(令和8年1月31日時点)
酒田市では「酒田市総合計画(後期計画)」に基づき、市民と行政がめざす姿を共有し、一丸となって取り組むまちづくりを推進。広聴・広報機能の強化や、市民参画・協働を広げる仕組みづくりのための方法が模索されていました。
連携の概要
市民参加型合意形成プラットフォーム「Liqlid(リクリッド)」を「さかポス」の愛称で実証として導入しました。酒田市総合計画(後期計画)に基づき、行政の施策や課題を市民へ透明性高く届けるとともに、市民の意見を幅広く聴取できる環境を整備しています。また収集した意見の分析・反映を迅速に行うプロセスを設計し、双方向のコミュニケーションを通じた計画策定や事業推進を支援しています。
プラットフォーム名: さかポス
担当課:都市デザイン課、企画管理課
実施期間: 令和7年7月〜
連携による成果や意義
令和8年3月現在、酒田市との連携は拡大中です。投稿者は、40代以下が半数以上を占め、会社員・公務員、無職(主婦など)、学生、と様々な属性の市民が参加していることがわかります。
以下は、「さかポス」を活用した取り組みの中から、中心市街地・中町エリアの活性化方針を定める「まちなかグランドデザイン」策定事業の概要と、現段階での成果を紹介します。プロジェクトを主導した都市デザイン課の皆さまからお聞きした、具体的な運用の手応えも詳しくお届けします。
「酒田市まちなかグランドデザイン」概要
中心市街地「中町エリア」を、再び多くの人が行き交い集うまちとするため、目指すべき将来像や具体的な施策を「酒田市まちなかグランドデザイン」として策定するにあたり、「さかポス」が活用されました。
▶︎ 実際の「酒田市まちなかグランドデザイン」事業 @さかポス
連携のタイムライン
これまでの具体的な成果(令和8年3月時点)
⚫︎双方向コミュニケーションと意見の可視化
今回の策定プロセスでは、まず「たたき台」を提示し、中町エリアでの「働く・暮らす・居心地」に関するアイデアを市民から広く募集しました。その後、タウンミーティングとデジタル上の双方で募った意見を「素案」にまとめ、さらにその素案へフィードバックをもらうという、双方向コミュニケーションを実施しました。このプロセスを通して「やはり市民との『対話のキャッチボール』が必要という思いを強くした」と、都市デザイン課の担当者は語ります。また従来の紙アンケートとは異なり、さかポスでは他者の意見も可視化されます。これにより、行政と市民の二者間だけでなく「他の市民がどう考えているかを互いに知る・参照し合う場」としても機能していたと推察されます。
⚫︎事務負担の軽減がもたらす「対話回数」増加への期待
従来の紙アンケートは、膨大な回答を手入力し集計するために多大な事務的負荷と時間、外部委託コストを要していました。さかポスに内蔵されたAIを活用することで、これらの入力・集計工程を大幅に効率化し、瞬時に論点の傾向を抽出することが可能に。同課の担当者からは「事務的・経済的負担を抑えながら対話の質や回数を高めていける可能性を感じる」という手応えが語られました。
⚫︎市民の具体的ニーズによる「構想の肉付け」と計画の精緻化
今回の対話を通じて「市民のみなさんが『中町エリアに来たい』と思っている事実を再確認できたことが、大きな安心感に繋がった」と、現場からの実感も語られました。また、市民に声を聴いたことで、「駐車場の確保」「若者の居場所や子育て世代向けの施設」の必要性が浮き彫りになり、これらは「まちなかグランドデザイン」に反映されています。市民のリアルな声により、もともとの計画骨子が肉付けされ、より中町エリアを再活性化する可能性の高い計画へとアップデートされました。
酒田市とLiquitousは、今後も連携を継続・拡大予定です。より幅広いテーマで、市民の意見を計画や事業案に反映させていきます。
現在、意見収集期間が長期にわたる場合でも、市民が継続して参加し続けられるような「見せ方の工夫」が具体的な課題として挙げられています。今後は運用面のブラッシュアップを重ね、さらに多くの市民が主体的に意見を寄せたくなるような環境整備を推進していきます。
(令和8年4月3日公開)
