Case
Study

長岡京市

長岡京市では、総合計画の策定や散策路のリニューアル内容策定など、全庁的に市民参加型合意形成プラットフォーム「Liqlid」を活用しています。従来の方法では参加が難しかった市民の方々の声も検討段階から取り入れ、計画策定や事業の具体化が進んでいます。


連携・取組のハイライト

●情報の透明化と対話のサイクルを構築
令和6年度からLiqlidを「Voice NAGAOKAKYO」という愛称の元、実証実験として導入。現在進行中の計画や政策の背景、行政側の考えを丁寧に発信し、市民と行政の共通した情報基盤が整った上で、市民が意見を出せる環境を整えました。更に、分析結果や暫定案を再び公開し、それに対して意見を募るというプロセスを繰り返しており、より納得感の高い合意形成を目指す環境を整えています。

●全庁的な活用:市民参加の機会拡大から、総合計画策定まで
長岡京市では「Voice NAGAOKAKYO」の活用の幅が継続的に拡大し、令和8年度から全庁的な導入が始まっています。市民が市長に直接声を届けることができる場「対話のわ」に参加できる機会をオンライン上にも拡大。市民に長年親しまれる憩いの場「犬川散策路」リニューアル案の策定や、長岡京市第4次総合計画第3期基本計画の策定などに活用されています。

●AIによる分析の高度化と、本来注力すべき業務へのシフト
「Voice NAGAOKAKYO」では、AIを活用した市民意見の集計・分析が行われ、職員の業務の負担を軽減。単なる事務作業の効率化に留まらず、寄せられた多様な声を「いかに政策や計画へ繋げるか」という、より本質的かつ重要な検討業務に時間を割くための余白を生み出しています。


実施自治体について

京都府の南西に位置し、京都・大阪双方への優れた交通利便性と、長岡天満宮をはじめとする歴史遺産が共生する街です。

人口:81,944人
世帯数:38,352世帯
(令和8年2月1日現在)

長岡京市では、以前より市民の声をまちづくりに活かす施策に注力しており、市長が自ら各地域や団体の活動場所に出向き、市民の声を直接聴く「対話のわ」を継続的に実施。こうした対面型の丁寧な市民参画を大切にする一方で、従来の枠組みだけでは届きにくかった層の声を取り入れ、より多様な視点を施策に反映するための新たな手法を模索されていました。


連携の概要

弊社の市民参加型合意形成プラットフォーム Liqlidを「Voice NAGAOKAKYO」という愛称で設置。このプラットフォームを活かして、より市民のみなさんの声を受けたまちづくりや政策決定ができるような、意見収集・分析・意見反映のプロセスを構築しました。

プラットフォーム名:Voice NAGAOKAKYO
担当課:自治・共助振興室(プラットフォーム所管課)
活用課:秘書課、総合計画推進課、道路河川課 など
連携期間:令和6年9月〜

連携による成果や意義

令和8年3月現在、長岡京市との連携は継続し、その幅を拡大しています。市民からの意見投稿数は約2150件、市民意見に対する「いいね」の数は、約5000件に達しています。参加者の属性としては、40代以下の市民のみなさんからの投稿が78%となっています。

以下は、長岡京市民の皆様の憩いの場「『犬川散策路』のリニューアル案」策定プロジェクトにおける具体的な成果を、道路・河川課の皆さまからお聞きしたお話も交えて紹介します。

「『犬川散策路』のリニューアル」事業

長岡京市の開田4丁目から神足3丁目へと続く「犬川散策路」は、地元住民から長年親しまれる憩いの場です。前回の整備から20年が経ち、舗装などに傷みが生じていた為、リニューアルが計画されていました。このリニューアル案に市民の声を取り入れる為「Voice NAGAOKAKYO」が活用されました。

▶︎ 実際の「犬川散策路のリニューアル」事業 @Voice NAGAOKAKYO

連携のタイムライン

これまでの具体的な成果(令和8年3月時点)

⚫︎「サイレントマジョリティ」の可視化と、職員のやりがい
これまでの土木事業では、説明会や近隣住民との対話、議員を通じた要望などが主な声の収集方法でした。今回「Voice NAGAOKAKYO」を活用したことで、これまで意見を届ける機会が少なかった方にも声を聞かせてもらうことができました。担当者からは「今回の意見の中に、本取り組みを高く評価してくださる声もあり、職員の大きな励みになった」というエピソードも寄せられ、行政と市民の新しい信頼関係が芽生えています。

⚫︎AI活用による、集計・分析業務の負担軽減
新プラットフォームの導入に伴う初期運用コストはあるものの、従来の「紙のアンケート」運用による、集計・分析作業が大幅に効率化されました。またAI活用により、市民から寄せられた意見を即座に構造化することが可能になり「意見の傾向を一目で掴むことができた」という声も上がっています。単純な事務作業を削減し、寄せられた意見を「どう施策に活かすか」という、本来注力すべき検討に時間を割ける体制が整いつつあります。

⚫︎市民の声が導く、新しい整備方針
今回のリニューアルでは、計画案を作る前段階から市民に問いかけを行いました。犬川散策路を「歩いて気になった場所」や「快適に楽しむためのアイデア」を募り、それを受けた整備方針(中間報告)を提示。さらにその方針に対して市民が意見を重ねるという、丁寧なプロセスを辿っています。「道路・河川課内だけで進めていたら、従来通りの維持・補修に留まっていたかもしれない」という担当者の言葉もあり、市民の方々の声が、道路整備に新たな方向性を見出しています。


「Voice NAGAOKAKYO」の活用が進む中で、長岡京市のご担当者様からは「より少数意見を尊重するにはどうしたらいいか?」「市民の意見を引き出す、より良い設問とは?」「AIによるハルシネーションを乗り越えるにはどうしたらいいか?」といった、一歩踏み込んだ本質的な問いを頂いています。

私たちは、これらの問いを「ツール導入後の副産物」ではなく「民主的な合意形成への挑戦」と捉えています。単なるシステムの提供に留まらず、現場の葛藤を分かち合い、一つひとつの課題に解を見出す試行錯誤を、これからも長岡京市の皆さまと共に積み上げていきます。

(令和8年4月3日公開)