柏の葉スマートシティ
柏の葉スマートシティには、街の生活者を中心に企業・行政・大学が共創をするためのプラットフォーム「みんなのまちづくりスタジオ(みんスタ)」があります。リビングラボの手法を取り入れながら、生活者と街の関係者が、ともに街のことを考え、実験しながら、新たなサービスやプロジェクトが誕生・運営されています。Liquitousは、より多くの生活者の意見やアイデアを重ねるために、みんなのまちづくりスタジオと連携。Liqlidを「みんスタONLINE」という愛称で導入し、まちづくりの基盤づくりをサポートしています。
連携・取組のハイライト
⚫︎継続的な市民参加を支える、まちづくりの基盤構築
みんスタONLINEでは、公園や近隣センターの設置、産前・産後のサポート体制整備、交通安全対策など、まちづくりに関わる幅広いテーマが扱われています。24時間いつでも意見やアイデアを投稿できる環境に加え、対面ワークショップの記録や議論の経過も閲覧でき、市民が関心を持ったタイミングでプロジェクトに参加できる体制が整っています。特定の時間・場所に縛られない、継続的な市民参加を支える仕組みが構築されつつあります。
⚫︎既存の市民参加の場を補完し、声の多様性と深度を高める取り組み
みんスタONLINEは、対面ワークショップをはじめとする、既存の市民参加の場を補完する形で運用されています。対面の場では、みんスタONLINEを通して、参加者の意見をリアルタイムに集約・可視化。その場の議論を深める機能として活用されています。時間的制約や心理的ハードルから対面機会への参加が難しい方には、オンライン投稿という参加経路を確保しています。限られた参加者の声が大きくなりがちな従来の運用に比べ、より多様な属性・立場からの意見が集まり、議論の厚みと精度が高まっています。
⚫︎AI活用による、透明性の確保と本質的な業務へのリソース創出
投稿された意見はAIによってリアルタイムに一次分析・構造化され、住民へのフィードバックや専門家との共有を迅速化しています。従来、担当者が付箋や模造紙をもとに手作業で行っていた集計・整理のプロセスが効率化され、コストと時間カットを実現。余剰リソースを、住民への丁寧な返答や専門家による多角的な分析へと充てることが可能になっています。分析結果はプラットフォーム上でそのまま公開できるため、現地に来られなかった方を含め、議論の経過と結果を誰もが確認できる透明性が確保されています。
実施エリアについて
千葉県柏市の柏の葉エリアは、柏の葉キャンパス駅周辺を中心に、生活者と、公・民・学が連携してスマートシティやリビングラボ型のまちづくりを進めてきた地域です。その中心を担うのが、柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK)とUDCKタウンマネジメントであり、まちづくりの中間支援組織として「みんなのまちづくりスタジオ」を運営し、まちづくりを支えています。
人口:13,967人(柏市北部中央エリア)
連携の概要
2020年に、みんなのまちづくりスタジオは活動を開始。住民と共に、新しいプロジェクトやサービスをつくる、リビングラボ的なまちづくりも同時にスタートしました。その中で、より街の声を集めて見える化したり、声の出しにくい住民の声をも聴くことのできる仕組み・プラットフォームが模索されていた中、Liquitousとの連携がスタートしました。
プラットフォーム名: みんスタONLINE
連携先:みんなのまちづくりスタジオ(UDCK、UDCKタウンマネジメント)
実施期間:
令和4年11月〜
連携による成果や意義 ※1
令和8年7月現在、柏の葉スマートシティとの連携を継続し、その取り組みの幅を広げています。これまでに様々なテーマで意見募集・合意形成を行い、扱ったテーマの総数は21件に上ります。多様な属性の市民の皆様にご参加いただいており、「みんスタONLINE」には、それぞれの生活スタイルに合わせて、様々な時間帯に投稿が寄せられています。
※1 数値は、令和8年7月3日時点のデータです
※2 属性を回答してくださった方々のみを集計しています
※3 みんスタONLINE上の以下3つのスペース「KOIL 16 Gateをもっと行きたくなる場所へ!」「みんなでつくる あたらしい公園」「産前・産後の不安な時期をまちでサポートする仕組みをつくる」に、非同期で投稿された意見のみを集計しています(対面ワークショップ中に寄せられた意見は除く)
以下は、柏の葉エリアに新設する公園について、住民と共に計画を策定した「みんなでつくる あたらしい公園」プロジェクトについての具体的な成果を、UDCK および UDCKタウンマネジメントの皆様にお聞きした声も交えながら、紹介します。
「みんなでつくる あたらしい公園」概要
柏の葉キャンパス駅と柏たなか駅の間に新設される2号近隣公園について、計画をより生活に馴染んだものにするため、広く近隣住民の声を募り、実際の計画に声を反映したプロジェクトです。対面ワークショップと並行してオンラインでも意見を集めることで、より幅広い年代・属性の方の声を反映した、公園計画の策定に至っています。
実際の「みんなでつくる あたらしい公園」 @みんスタONLINE
意見募集から公園整備までのタイムライン
これまでの具体的な成果(令和8年7月時点)
⚫︎来られなかった人の声が、公園を変える
中高生がまちづくりに関するワークショップに参加することは、残念ながらあまり一般的ではありません。彼らの声を集めるため、このプロジェクトでは、学校配布のチラシにみんスタONLINEのQRコードを掲載し、実際に中高生とみられる方から「バスケットゴールがほしい」という声が寄せられました。この声が対面ワークショップの場で共有され、子育て世代の方からの「子どもが大きくなった後に体を動かせる場所がほしい」という意見とも呼応。その後の専門家協議でも真摯に受け止められ、音環境・景観・配置への配慮を含む設計検討を経て、予算措置とともに実装へと進んでいます。「ご意見ありがとうございました」で終わらない、声が計画を動かすプロセスの好例として、関係者からも手応えが語られています。
⚫︎賛否の奥にある思いを、対話で引き出す
植樹をめぐっては、落ち葉や側溝詰まりを心配する住民から「木を植えないでほしい」という声が出ました。一方、日陰や自然体験のために木は必要だという意見もありました。これらを単なる賛否ではなく「なぜそう感じるのか」を対話する機会として扱った結果「自分たちが苦労してきたから、新しく住む人に同じ苦労をさせたくない」という背景が参加者の間で共有されました。対話を経て、樹高を抑える・園路周辺の木を内側に寄せるなどの設計上の工夫が検討され、最終回で計画が共有された際には、当初懸念を示していた方々からも納得感のある反応があったといいます。
柏の葉スマートシティでは、みんスタONLINEを、住民参加プロジェクトだけでなく、地域活動のやり取りを蓄積する場として、あるいは行政・民間・大学のプロジェクト議論をオープンにする場としての活用など、まちづくりへの更なる活用が期待されています。同時に、みんスタONLINEのさらなる認知拡大、投稿者への通知機能のアップデートといった、よりまちづくり基盤として機能するための課題と期待の声もいただいています。
今後も現場での実践と試行錯誤を重ねながら、より多くの関係者のリアルな声が重なり、柏の葉スマートシティのまちづくりが行われるよう、連携を強化していきます。
(令和8年7月31日公開)
