Case
Study

東久留米市

東久留米市では、「市民参加・情報提供の指針」の改訂をきっかけに、市民参加の方法やプロセスをアップデートしています。その一環として、弊社が独自に開発した市民参加型合意形成オンラインプラットフォームLiqlidを、「くるりっど」という愛称で運用しています。

東久留米市第5次長期総合計画の後期基本計画や、市内の小中学生が学校やまちの未来を議論する児童参加型生徒会サミットなど、様々なテーマ・場面において、より幅広い市民から意見を集め、フィードバックを届ける循環を構築中です。


連携・取組のハイライト

⚫︎市民参加の入口を、紙中心から複数チャンネルへ
東久留米市では、「市民参加・情報提供の指針」の改訂を機に、より多様なチャンネルから、より幅広い市民の声を集める取組が活発になっています。「くるりっど」は、市の考えや施策の背景をわかりやすく提示した上で、市民がいつでもオンライン上で意見を届けられる場として導入。紙のアンケートなど従来の取り組みでは、参加しづらかった若年層や子育て世代からの意見も受け取りやすい体制になっています。

⚫︎3,593件の声を土台にした生徒会サミット
市内の小中学生の代表が集まり、学校やまちのこれからを話し合う「児童参加型生徒会サミット」。昨年はその手法をアップデートし、当日参加する代表生徒だけでなく、市内の小学5・6年生と中学1〜3年生からも事前にオンラインで意見を募集しました。結果、3,593件もの声が集まり、当日の議論は、これらの声を「くるりっど」上で分析した結果を土台に進められました。

⚫︎結果を「返す」ことで、プロセスを透明化
どのテーマにおいても、集まった声がどのようなものだったのか、次のステップでどのように議論され、次のステップとして何に反映されるのか、市民にとってわかりやすくフィードバックが返る仕組みも整えています。ただ声を集める・聴くのみに終わらない、透明性・応答性が高いプロセスが構築されています。


実施自治体について

東京都東久留米市は、都心から北西へ約24キロメートル、武蔵野台地のほぼ中央に位置しています。市内には湧水や河川、緑地などの自然資源があり、住宅都市としての暮らしやすさと、都心部へのアクセスをあわせ持つまちです。

人口: 116,779人
世帯数: 57,954世帯
(令和8年7月1日時点)


連携の概要

東久留米市は、東京都のスタートアップ支援事業「UPGRADE with TOKYO」* を起点としています。市が提示した行政課題に対し、複数のスタートアップが提案を行う中で、Liquitousの提案が市の課題意識と合致し、東京都の支援を受けて連携が始まりました。

13か月間の実証実験を経て「従来方法では声を聴くのが難しかった市民からも幅広く意見を集められる」という手応えを感じていただき、東京都の支援期間終了後も、連携を継続中です。

プラットフォーム名:デジタル掲示板「くるりっど」

担当課:企画経営室 企画調整課

活用課:企画経営室企画調整課, 企画経営室秘書広報課, 子ども家庭部こども家庭センター, 教育部指導室

* 2024年11月19日に、東京都(産業労働局商工部創業支援課)が主催した、スタートアップと東京都の協働で都政課題の解決を目指すピッチイベント「UPGRADE with TOKYO 第42回ピッチイベント『デジタルを活用した「伝わる市政・市民の気軽な意見発信」の実現』」に弊社取締役の藤井が登壇し、優勝という評価を頂いたことから、実証実験がスタートしています。

生徒会サミットにおける成果や意義

令和8年7月現在、東久留米市との連携・協働は拡大しています。下記では「児童参加型生徒会サミット」における協働事例に焦点を当て、現在までに見えてきている成果をご紹介します。

令和7年度の生徒会サミット概要

東久留米市では、市内の小中学生代表が、学校やまちの未来を議論する、児童参加型生徒会サミットを定期開催しています。令和7年度は、サミット当日に参加する代表の子どもたちに限らず、市内の児童生徒から「だれもがワクワクする市にするには、どうしたらよいと思いますか?」という問いで、事前にオンラインで意見を募集。3,593件の声が集まり、サミット当日は、それらの声をくるりっどで分析したものを土台に、代表児童生徒の議論が行われました。また、オンラインで声を届けた子どもたちには、どんな声が集まったのか、届けた声がどのようにサミット当日の議論に使われたのかが、オンライン上でフィードバックされました。

タイムライン

▼ 実際に集まった3,593件の声
https://higashikurume-city.liqlid.jp/spaceicpb6gfn

▼児童生徒へのフィードバック時資料(一部抜粋・全文はこちら

具体的な成果

⚫︎児童生徒の声を、議論できる形へ整理
集まった3,593件の意見は、「くるりっど」上で速やかに要約・論点抽出され、代表生徒によるグループワーク議論の土台になりました。従来の紙のアンケートでは集計と分析に膨大な時間を要していましたが、AIが搭載されたくるりっどを活用することで、短期間での集計と分析が可能になりました。

⚫︎届けられた声に応答・結果をわかりやすく可視化
オンライン上で集まった意見の詳細や当日の様子は、後日サミットに参加できなかった児童生徒にもフィードバック。従来の調査結果は長大な資料として公表されることが多かった一方、今回は小学5年生〜中学3年生が、直感的にわかる形でフィードバック資料が作成されました。


今後の展望

東久留米市では、新しいデジタルのチャンネルを活用し、従来より幅広く、多様な層の声を受け取り、それをフィードバックし、計画に反映する仕組みが整い始めています。一方で、各部署が能動的に活用するための庁内浸透や、高齢者などデジタルに不慣れな市民への支援は、引き続きの課題です。

Liquitousとの関係について、市の担当者は「単なるシステム提供者や委託先ではなく、困ったときに相談しながら一緒に進められる相手」と捉えてくださっています。また弊社の学術的な知見にもとづく提案が、前例踏襲になりやすい場面に新たな選択肢をもたらした、というコメントもいただいています。

今後も東久留米市とLiquitousは、より多様なテーマで、子どもたちを含めた市民の声をまちづくりへとつなげる方法を模索していきます。

(令和8年8月31日公開)