コラム

政策企画部門

栗本拓幸

2020/05/24

時代の変化の中から - 私たちの存在意義を考える

ポストコロナ

民主主義への投資

新型コロナウイルス感染症を巡る災禍も、緊急事態宣言の全面的な発令解除に伴い、小康状態になりつつある。新型コロナウイルス感染症の急速な感染拡大が認識された3月下旬以降、インターネット上では政策を巡る多種多様な議論が行われ、ものによっては国・地方自治体に反映されるなどのケースも少なからず存在する。あるいは、例えば株主総会・決算発表会といった意思決定の場を実空間で行わず、オンライン上に移して実施するなどの動きも見られた。

これらのケースを総合して検討すると、オンライン上でどのように意思決定を行うか、という問いを考える必要があると言えるだろう。確かに、既存の様々なソフトウェアを活用すれば、オンライン上の意思決定が出来ない訳ではないが、必ずしもそれらはオンラインに最適化されているとは言えない。例えば、複数の組織の複数の代表者による集会で意思決定を行うといった集会の形や、あるいは資料に基づいた議論と意思決定などの意思決定に至るまでの手法…それらのバリエーションを考えれば、既存のソフトウェアは不十分であろう。こうした文脈からも、私たちLiquitousが開発しているLiqlidの存在意義を捉え直すことはできるだろう。

以前、『政治分野における液体民主主義の構想 - 二回路制デモクラシーとコモンズ』という拙文を投稿した。実はこの文章は、昨年12月〜本年2月頃に社内で議論していたアイデアを個人的な視点で言語化し、編集したものであったのだが、この文章のなかで謳っていた事柄を実現する重要性が、(予想しない流れではあったものの)今回のコロナ禍で高まっている中、改めて私たちLiquitousのミッションの意義に自覚的になる機会が多くあったことは言うまでもない。緊急事態宣言の全面的な発令解除以降は、『オンラインであること』の逼迫性は徐々に逓減し、『オンラインである』ことの評価が問われるようになることが想像できる。そうした中で、私たちLiquitousが謳う液体民主主義の社会実装はどのような意味を持つのだろうか。

これまでも、公共領域をはじめとする様々な領域における意思決定で、テクノロジーを活用するなどの方法で、より良い意思決定を行おうとする試みは、凡そ進んでいないことに、行き場のないもどかしさを感じて来た。 言い換えれば、民主主義という仕組みに対して、人的・経済的・時間的資源は投資されて来なかったのである。しかし、そうした状況を蚊帳の外から眺め、あるいはあぐらをかいて批判をしていても、状況が好転することはない。この社会情勢の変化を私たちの社会にとって奇貨とすることができるように、Liquitousのメンバーの1人として、自らの役割を考え直している。Liquitousは、テクノロジーを用いて民主主義という仕組みに何を投資することができるのだろうか。改めて自分自身に問いかける5月24日の夜だった。

Author

栗本拓幸

CEO

Chief Officer of Policy Research Div.

1999年生まれ。慶應義塾大学総合政策学部在学。「知性ある日本」をテーマに、政治参画、Govtech、統治機構改革などの分野で研究を進めながら、NPO法人Rightsをはじめとする複数の法人で理事他、政策提言、教育現場でのファシリテーターやラジオパーソナリティ、YouTube配信など。公共と市民の関係性、Society5.0が喧伝される中で民主主義の在り方についての問題意識から、液体民主主義の社会実装を試みる合同会社Liquitousを設立。富士通総研・トポス会議他登壇多数。公共コミュニケーション学会 (PRAS) 会員。

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