コラム
Liquitousにおける政策企画部門の役割
政策という言葉の再確認
私たちLiquitousには政策企画部門というチームがあります。政策企画とは、何をミッションとするチームなのか、その意味合いと目的について、改めて説明を申し上げたいと思います。
私たちLiquitousが目指す「液体民主主義の社会実装」、そしてその先にある「民主主義のDX」というゴールは、単に使い易いソフトウェアの開発のみでは達成し得ないと考えています。私たちの試みとは、テクノロジー活用を前提とした意思決定プロセス:液体民主主義を様々な組織やコミュニティの個々に実装し、それら個別の意思決定プロセスを相互に連関させていくことの積み重ねと言い換えることができます。即ち、液体民主主義の意義を滔々と説いていたとしても、個別の組織・コミュニティにとって液体民主主義を実装する何かしらの利益を提供できない限り、液体民主主義の実装は進まないということです。
そもそも、政策企画部門では、「政策」という用語を2つの側面から捉えています。まず1つ目は「政治・行政領域で展開される方針・方策」です。これは世間一般における「政策」の意味合いと相違ないものでしょう。加えて、政策という言葉の2つ目の捉え方として、「(発見した)社会問題について、多様なセクターを巻き込みながら解決を図る為の方策」というものが挙げられます。この捉え方は前述の1つ目の捉え方を包含するもので、より広義なものになります。
従来、政治・行政領域は、社会の中の共通利益を維持するための基盤である「公共」のルールメイカーであり、社会問題の発見・解決の直接的な担い手という役割が期待されてきました。しかし、今日においては政治・行政領域のみが社会問題の発見・解決直接な担い手となるのではなく、例えば様々な企業や組織、NPO/NGOなども社会問題の発見・解決の担い手となっています。もちろん私たちLiquitousも、社会問題の発見・解決の担い手であることを目指しています。私たちLiquitousは、この国における公共領域における基本的な意思決定システムである民主主義が、時代の要請にあったものへ進化をしていないことを重大な課題として捉えています。そこで、私たちは、冒頭に申し上げたような形で、液体民主主義の実装を積み重ねていくことで、社会全体に液体民主主義を実装しようと考えています。
つまり、私たちが取り組んでいる領域は、そもそも政策が展開される政治・行政領域に非常に近しいものであり、私たちLiquitousの取り組みそのものが政策に類されるとしても過言ではないでしょう。そして、私たちLiquitousが実際に液体民主主義を実装していくことは、例えば個別の組織やコミュニティが抱える課題に対するソリューションの提供の他なりません。つまり、私たちの提案する1つ1つのプランもまた、多様なセクターを巻き込みながら解決を図る為の方策であり、私たちLiquitousにとって政策と評価できるものです。
これら2つの意味での「政策」の実効性を担保するために、政策企画部門は、日本を含む諸外国における同様の取り組みの先進事例を収集・分析しています。そして、先行事例などから示唆を得つつ、開発部門が手掛けるソフトウェアをどの様な組織・コミュニティに実装することで、新しい利益を創出できるか、その具体的なプランを研究・提案します。この具体的プランの積み重なった先にある液体民主主義が実装された社会は、一体どの様な姿なのか、構想し「絵を描く」ことも政策企画部門の役割の1つです。加えて、「液体民主主義が実装された社会」を実現する土壌を作るために、社外にパートナーとなる存在を見つけ、ムーブメントを生み出していくことも必要になります。これらの役割を私たちLiquitousの中で担うチームが、政策企画部門だと考えています。
Author

栗本拓幸
Hiroyuki Kurimoto
代表取締役CEO
スクラムを組んで『民主主義のDX』!
1999年生まれ、横浜市で育つ。18歳選挙権などをきっかけに、市民と政治・行政の関係性に問題意識を持つ。2018年に慶應義塾大学総合政策学部に入学以降、選挙実務や地方議員活動のサポートに従事した他、超党派議員立法の事務局などに携わる。市民と行政を繋ぐ「新しい回路」の必要性を痛感し、Liquitousを起業。

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