コラム
多元性と組み合わせ
技術と政策の往還を目指して
Lisearchブログでは、これまでに配信してきた調査研究に関する記事の他に、Liquitousに関わる人間がLiquitousの事業について考えていること、あるいはLiquitousに対する姿勢など、Liquitousでチームとして活動している私たちにまつわる事柄をカジュアルにコラム形式でも発信していきます。
今回は、私たちLiquitousが技術と政策の往還を如何に果たしていくかということを取り上げて考えたいと思います。具体的に言い換えれば「私たちの開発するソフトウェアをどうやって実社会に普及させ、実社会で出ている課題を私たちの開発するソフトウェアに落とし込んでいくか」ということです。
私たちにとって政策とはなにか
今、様々なところで「テクノロジー」という言葉を耳にします。この言葉に、仰々しさや万能感を見出す場合も少なくないかもしれません。ただ、私たちにとって技術(テクノロジー)とは”先端的な”ものであるとか、あるいは”小難しい”ものではなく、『何かしらの課題を解決するために、今ある科学の原理を組み合わせること』になります。そして「政策」というと、政治行政に関わることを直接的に想起しがちです。勿論、私たちLiquitousも政治行政領域もターゲットの1つとしています(参考:政治分野における液体民主主義の構想)。
ただ、私たちLiquitousにとって「政策」とは、狭義に政治行政における施策を指し示す語ではなく、『様々な資源を活用して、課題の解決を図る為に、様々な資源を活用する(ステークホルダーとの折衝等が行われた後に生み出される)プラン』 だと考えています。
これらを踏まえれば、昨今様々な場所で耳にする「問題解決」を行う為には、技術単体で、あるいは政策のみでその実現を図るのではなく、技術と政策を組み合わせていくことが肝要になります。技術と政策は、拠って立つ学問領域も、その手法も一見する限りは大きく異なりますが、それらが多元的(Plural)である故に、組み合わせることで、本来の目的がより達成されやすくなる、と言えるのではないでしょうか。
多元的なものを組み合わせる
この「多元的なものを組み合わせる」という話を少し敷衍したいと思います。政治行政においても、民間においても、協働という語が用いられて久しく、昨今は共創という語を使用する場面も見られる様になりつつあります。改めて「なぜ協働・共創が重要か」と問われれば、少なくとも私自身は、領域や手法が異なる多元的な個人・組織が組み合わさることで、各個人・組織が持つ目的の達成がより容易になるのみならず、新しい価値を生み出す可能性があるからと答えるでしょう。(多元的な組み合わせを行う為には、その「場」に存在する各個人・組織に多元的な広がりがある、即ち、その「場」そのものに多元性(Plurality)が自ずから見出されることが鍵になります)
この「多元的なものを組み合わせる」という発想は、私たちLiquitousにとって非常に重要なものです。そもそも私たちLiquitousというチームを構成している一人ひとりは、例えばこれまでの興味関心領域も、得意とする手法も異なります。ただ、この様に異なる個人で構成されるチームだからこそ、これまで述べてきた「多元的な組み合わせ」によって、私たちLiquitousが持つ社会課題の解決を目指すことが出来ると考えています。そして何より、私たちLiquitousが開発を進めているLiqlidも、この多元的な組み合わせを実現する為に、液体民主主義という発想に基づきながら、オンライン上で意思決定を行うツールの他なりません。
世の中では様々な場所で「多様化」が謳われていますが、多様化を謳うまでもなく、私たち一人ひとりは「所与の多様性(=多元性)」のなかで生き、社会を構成しています。このことを念頭に置きながら、これからも私自身、そして私たちLiquitousとしても事業の展開にあたっていきたいと思います。
Author

栗本拓幸
Hiroyuki Kurimoto
代表取締役CEO
スクラムを組んで『民主主義のDX』!
1999年生まれ、横浜市で育つ。18歳選挙権などをきっかけに、市民と政治・行政の関係性に問題意識を持つ。2018年に慶應義塾大学総合政策学部に入学以降、選挙実務や地方議員活動のサポートに従事した他、超党派議員立法の事務局などに携わる。市民と行政を繋ぐ「新しい回路」の必要性を痛感し、Liquitousを起業。

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